浄土和讃

【浄土和讃のやさしい解説】第4回「智慧の光明」

親鸞聖人が詠まれた浄土和讃を1話1首でやさしく解説します。阿弥陀さまの智慧の光は限りなく、私たちの心の闇を照らし続けていると説かれます。

公開日: 2025/9/26

なんだか心の中が真っ暗で、先が見えない…。


そんなふうに感じるとき、誰しもありますよね。

でももし、その暗闇のなかに、気づかぬうちに私たちを照らしてくれている光があったとしたら――。


今日は、その光について、浄土真宗の「正信念仏偈」に出てくる和讃を通してご一緒に味わっていきたいと思います。

この記事を読み終えたとき、きっと「真っ暗に思える中にも、温かな光がいつも届いているんだ」と感じていただけるのではないかと思います。


どうぞ安心して読み進めてくださいね。

それでは、はじめていきましょう🌿

*この記事は、以下のポッドキャストの文字起こしを元に作成しています。

目次

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和讃の原文をご紹介📜

まずは今回取り上げる和讃の原文を確認してみましょう。

智慧の光明はかりなし

有量の諸相ことごとく

光暁かぶらぬものはなし

真実明に帰命せよ

きっと「あ、聞いたことがある」という方もいらっしゃるかもしれません。


浄土真宗の中でも大切にされてきた和讃のひとつです。

では、この言葉をひとつずつ見ていきましょう。

「智慧の光明」とは?💡

最初に出てくるのが「智慧の光明」という言葉です。

ここでいう智慧とは、仏さまの智慧のこと。


単なる知識や頭の良さではなく、真理を見抜く力、すべてを慈しむまなざしです。

そしてそれは「光」として表されます。


たとえるなら、暗闇を照らす懐中電灯のようなもの。


迷いや苦しみで先が見えないときも、仏さまの智慧は光となって私たちを導いてくださるのです。

「はかりなし」とは、文字通りはかり知れないということ。


つまり、この光には限りがなく、誰もがその光に包まれているという意味になります。

「有量の諸相」とは?🌏

「有量」とは、漢字のイメージのとおり、限り(量り)があるということ。

次に「諸相」という言葉が出てきます。

「諸相」とは、もろもろの姿や形のこと。


私たち人間だけでなく、草木や山川、動物や虫にいたるまで、この世界のあらゆる存在を指します。

諸行無常という言葉のとおり、私たちのいのちをはじめ、この世のすべての存在は、常に変化し、限りがあります。


その限りある存在ひとつひとつ、仏さまの智慧の光に照らされている

――そう受けとめると、この和讃の意味が少し見えてきますね。

「光暁かぶらぬものはなし」🌅

ここが少し難しい表現ですが、とても大事なところです。

「光暁(こうきょう)」とは、夜明け前のかすかな光のこと。


真っ暗な夜の中、東の空が少しずつ明るくなっていく、その微かな光を表しています。

仏教では「無明(むみょう)」という言葉があります。


それは、仏さまの教えに出会わず、真理を知らないまま闇の中をさまよっている状態を指します。

そんな無明の闇を照らしてくださるのが、この「光暁」。


まだ完全に明るくなったわけではないけれど、確かにそこにある光

「かぶらぬものはなし」とは、その光を受けないものはない、という意味です。


私たちが気づいていなくても、常に光は降り注ぎ、包んでくださっている。


そんな温かな眼差しを感じますよね。

「真実明に帰命せよ」🙏

さいごに「真実明に帰命せよ」と結ばれています。

「帰命(きみょう)」とは、身をゆだねること。


つまり、阿弥陀さまの智慧の光に安心して身をまかせていきましょう、という呼びかけです。

ポイントは、この「帰命」する対象が"阿弥陀さまだけ"だということ。

和讃には、「〇〇に帰命せよ」というフレーズがたくさん出てきます。

この〇〇に入ることばは、すべて阿弥陀さまの別名(別の呼び方)と理解することができるんです。

今回の場合、「真実明=阿弥陀さま」と読み替えてみると理解しやすいですね。


決して裏切ることのない智慧の光に、ただただ委ねていきましょう――そう和讃は語りかけています。

暗闇を照らす光のイメージ🌌

夜道を歩いていて、まわりが真っ暗だったら、とても不安になりますよね。


でも、たとえ小さな街灯でも、そこに明かりがあるだけで、ほっとするものです。

それと同じように、阿弥陀さまの光は、私たちが気づかないときでも、確かに届いています。


不安や悲しみで心が闇に覆われてしまうときも、その闇を照らしつづけてくださるのです。

私たちが見向きもしなくても、それでも常に「大丈夫だよ」と包んでくださる光。


それが、仏さまの智慧であり、慈悲であり、願いなのだと思います。

まとめ✅

さいごに、今回のポイントを整理しておきましょう。

  • 智慧の光明…仏さまの知恵は光として表され、限りなく私たちを照らしている。
  • 有量の諸相…この世のすべての有限の命は、その光に包まれている。
  • 光暁かぶらぬものはなし…気づかなくても、誰もが必ず仏さまの光を受けている。
  • 真実明に帰命せよ…阿弥陀さまの光に、安心して身をゆだねていきましょう。

真っ暗闇のように感じるときでも、後ろから照らしてくれる光が必ずある。


その光に委ねて生きていくことこそが、浄土真宗の信心の味わいなのかもしれません。

どうかこの光を感じながら、少しでも安心して日々を歩んでいただければと思います。

さいごまでお読みいただき、本当にありがとうございました。