
後悔から学ぶ、より良く生きるための方法
「あのとき、こうすれば…」という後悔に苦しんでいませんか?この記事では、辛い後悔の念を「未来への大切な学び」に変える心の持ち方を、仏教の知恵を交えてお伝えします。あなたの心がスッと軽くなるヒントです。
「なんで、あのときもっと優しくできなかったんだろう…」
「もし、あの選択をしていれば、今ごろは…」
そんなふうに、過去の出来事を思い出して、胸がぎゅーっと締め付けられるような気持ちになることはありませんか?
後悔の念というのは、本当に心を苦しめるものですよね。
ぼく自身も、もちろんたくさんの後悔を抱えて生きています。
今日は、「後悔」という感情と、どうすれば上手に付き合っていけるのかについて、仏教の視点も交えながら、一緒に考えていきたいと思います。
「後悔しない人生なんて、きっと無理だよ…」
そう感じている方も、ご安心ください。
この記事を読み終えるころには、後悔をただの苦しみで終わらせるのではなく、未来をより良く生きるための「大切な学び」に変えるヒントが、きっと見つかるはずです。
それでは、はじめていきましょう🎵
*この記事は、下記のポッドキャストの文字起こしを元に作成しています。
目次
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「後悔したことがない人」なんていない
「ぼくは、この人生で一度も後悔したことがないんです」
もし、そんなふうに言い切れる方がいたら、それは本当にすごいことだと思います。
自分の思ったとおりに、すべてが計画どおりに人生を歩んでこられた、ということですからね。
でも、おそらくほとんどの方は、そうではないのではないでしょうか。
多かれ少なかれ、何かしらの後悔を心に抱えながら、日々を生きている。
それが、私たち人間なのかもしれませんね。
ぼくにも、本当に色々な後悔があります。
たとえば、何年か前に「ビットコイン」というものが世の中に出てきたときのことです。
当時、たしか1枚7万円くらいだったような。。。
その存在は知っていたんですよ。
でも、なんだかよくわからなくて、「本当に大丈夫なのかな?」という怖さがあって、結局買えなかったんですね。
それが今や、1,600万円を超えるほどの価値になっている。
「あぁ、あのとき少しでも買っておけば、今ごろは…」
なんて、俗っぽい後悔をすることもあります(笑)
でも、後悔というのは、こうしたお金の話だけではありませんよね。
もっと心の深くに、ずっしりと残り続ける後悔というものがあります。
「もっと、優しくしてあげれば…」あるご婦人の後悔
先日、お参りにお伺いしているお家での出来事です。
そこには、70歳を過ぎた奥さまが、おひとりで暮らしていらっしゃいます。
昨年、ご主人を突然亡くされたんですよ。
それ以来、毎月お参りにお伺いしているのですが、奥さまは毎回、涙を流されます。
「毎日泣いているんです…」と。
おうちに一人でいると、毎日ご主人のことを思い出しては、涙が止まらなくなるとおっしゃいます。
そして、ご主人を思い出すたびに、後悔の念が次から次へと溢れてくるそうなんです。
「なんで私は、あのときもっと優しくできなかったんだろう」
「どうして、あんなことを言ってしまったんだろう」
そんな思いが心を駆け巡り、悲しくて仕方がない、と。
そのお気持ちは、痛いほどよくわかります。
大切な人を失ったとき、ぼくたちは「してあげられなかったこと」ばかりを思い出してしまうものなのかもしれませんね。
ぼくはいつも、「後悔のない人なんて、いないんですよ」とお伝えして、その場を後にするのですが、この出来事は、後悔という感情がどれほど私たちの心を苦しめるものなのかを、改めて考えさせられるきっかけになりました。
ぼく自身の、忘れられない後悔
実は、ぼく自身にも、その後悔の念に苛まれた経験があります。
一昨年、93歳で祖母が亡くなりました。
ぼくは勤めに出るまでずっと実家で暮らしていたので、両親よりもむしろ、祖母と一緒に過ごした時間のほうが長かったかもしれません。
ぼくが20歳のとき、お坊さんになる資格を取ってからのことです。
祖母は、来る日も来る日も、何かを縫っていました。
ミシンの「カタカタカタ…」という音が、いつも部屋に響いていたのを覚えています。
何を縫っていたのかというと、ぼくが着るための着物(法衣)なんです。
本当に毎日、ぼくがいつかお坊さんとして立派に勤められるようにと、来る日も来る日も、一針一針、心を込めて縫ってくれていました。
今、ぼくが持っている着物は、おそらく一生分あるんじゃないか、というくらい、たくさんのものを遺してくれました。
孫の未来を思い描きながら、縫い続けてくれたんですね。
でも、ぼくは、その姿を見ていながら、祖母に一言も「ありがとう」って、言えなかったんです。
それが当たり前だと思ってしまっていたんですね。
高校生や大学生のころは、祖母に心配をかけたり、悲しませるようなことをしたりもしました。
そのときも、素直に「ごめんなさい」の一言が言えませんでした。
そんな過去を思い出すたびに、後悔というものが、今でも胸に突き刺さるんです。
だから、祖母の葬儀のとき。
本当は、「おばあちゃん、ありがとう」って伝えて送り出したかった。
でも、それは叶わず、「おばあちゃん、ごめんね。本当に申し訳なかった」という気持ちで、手を合わせることしかできませんでした。
この経験は、ぼくにとって、本当に大きな後悔として心に刻まれています。
後悔から学ぶ、「ありがとう」と「ごめんなさい」の大切さ
「じゃあ、後悔しないためには、どうすればいいんだろう?」
きっと、そんなふうに思いますよね。
後悔という感情は、してもいいんだとぼくは思うんです。
むしろ、人間である以上、しないわけにはいかないのかもしれません。
大切なのは、後悔を後悔のままで終わらせないこと。
そこから、何を学ぶか。
どうすれば、これからの人生で後悔を少しでも減らしていけるのか。
それを考えることが、何よりも重要なんじゃないかな、と思うんです。
ぼくが祖母との経験から学んだのは、本当にシンプルなことでした。
それは、「ありがとう」と「ごめんなさい」は、思ったそのときに、ちゃんと伝えるべきだということです。
「なんだ、そんな当たり前のことか」と感じるかもしれませんね。
でも、この当たり前が、一番難しいのかもしれません。
わかってはいるけど、できない…それが人間なんですよね
「感謝の気持ちは、ちゃんと言葉にしなきゃダメだ」
「悪いと思ったら、すぐに謝ろう」
頭の中では、みんな、きっとわかっているんですよね。
ぼくも、祖母との後悔を通じて、痛いほどそれを学びました。
でも、いざとなると、なかなかできない自分がいるんです。
特に、家族やパートナーといった、近しい存在であればあるほど、「まあ、言わなくてもわかってくれるだろう」と甘えてしまって、感謝の言葉を伝えそびれてしまったり。
何かモヤモヤしたことがあっても、「今さら謝るのもな…」なんて思っているうちに、ごめんなさいが言えなくなってしまったり。
人間というのは、本当に不器用な生きものですよね。
わかっているのに、やめられない。
思ったとおりには、いかない。
大切なのは、「あ、そうだった。ちゃんと伝えなきゃいけないんだった」と、何度も思い出すこと。
そして、その気持ちを新たに、今日からまた「伝えよう」と心を新たにすること。
その繰り返しこそが、ぼくたちを少しずつ成長させてくれるのかもしれませんね。
後悔を「未来への一歩」に変える、毎日の小さな習慣 📝
では、どうすれば後悔を学びへと変え、未来へと進む力にできるのでしょうか?
それは、大げさなことではなく、毎日の生活の中に、静かに自分自身を見つめ直す時間を、ほんの少しだけ作ることなのかもしれません。
たとえば、こんな習慣はいかがでしょうか。
STEP1:1日の終わりに、静かに今日を振り返る
寝る前の数分間でいいんです。
ベッドに入ってから、静かに目を閉じて、「今日はどんな1日だったかな」と、そっと振り返ってみる。
楽しかったこと、頑張ったこと、少しだけ心残りだったこと。
STEP2:「後悔のない自分」を褒めてあげる
もし、その日に「やるべきことを全部やりきったな」「今日は感謝の気持ちを伝えられたな」と思えたなら、そんな自分を心から褒めてあげてください。
「ああ、今日は後悔のない、素晴らしい1日だったな」と。
そんな日を1日、また1日と積み重ねていくことが、きっとあなたの人生を、より豊かで素晴らしいものにしてくれるはずです。
STEP3:もし後悔があれば、そこから「学べること」を考える
もし、「あぁ、あのとき、あんな言い方しなければよかったな…」というような後悔が思い浮かんだら、自分を責める必要はありません。
「そっか、次に同じようなことがあったら、もう少し優しい言葉を選んでみよう」
そんなふうに、未来のための学びとして、そっと心に留めておく。
この「振り返り、気づき、次へ活かす」という小さな繰り返しが、後悔という苦しみを、未来を照らすための知恵へと変えてくれるのです。
もし、ご自宅にお仏壇があるのなら、朝、手を合わせるときに「今日はこんな1日を過ごそう」と目標を立てて、夜、帰ってきてから「今日はこうでした」と報告するのも、とても良い習慣だと思います。
大切なのは、1日のうちのほんの数分でもいいので、静かに自分と向き合う時間を持つことなのかもしれませんね。
まとめ
さいごに、この記事のポイントをまとめておきましょう。
✅ 誰にでも後悔はある。後悔すること自体は、決して悪いことではない。
✅ 大切なのは、後悔をただの苦しみで終わらせず、そこから「学び」を得ること。
✅ 「ありがとう」と「ごめんなさい」は、思ったそのときに伝える勇気を持つ。
✅ 1日の終わりに数分間、自分を振り返る時間を作ることで、後悔の少ない人生を歩むことができる。
大切なのは、過去の後悔から学び、今日というかけがえのない一日を、大切に生きることです。
後悔は、あなたを苦しめるためだけにあるのではありません。
「次は、もっと素敵なあなたになれるよ」
そんな、未来の自分からのメッセージなのかもしれませんね。
ぜひ、あなたの生活の一部に、自分自身と向き合う静かな時間を取り入れてみてくださいね。
さいごまでお読みいただき、本当にありがとうございました。